依存症のやめられないメカニズム。薬物や行動のドーパミンによる脳の変化

依存症という病気が、精神疾患であることを知っていますか?

「やめない」状態を依存症というのではなく、脳が変化する病気によって「やめられなくなる」のが依存症です。

依存症ではその人の性格や生活習慣にばかり目が行ってしまいがちですが、脳がどのようなことになっているのかを理解しておきましょう。

「やめればいい」病気ではなく「やめられない」病気

身近な依存症を引き起こす物質には、お酒、タバコ、カフェインなどがあります。

イライラしてタバコを吸う、気晴らしに楽しい時間を過ごすときにお酒を飲む、疲れていて眠いときにコーヒーやエナジードリンクを飲む。

そのような行動は薬物依存症やアルコール依存症に通じるところがあります。

日本では、覚せい剤の物質が「咳止め」や「元気に働ける薬」として合法的に売られていた時代もありました。


またギャンブル、性行為、食事、ネットやSNSやゲームなど、日常の行動のなかにも依存を引き起こす可能性があります。

ついつい食べ過ぎてしまった経験や大好きなゲームや動画がやめられなくなった経験は誰にでもあるのではないでしょうか?


嗜好品や日々楽しみが問題とならないようにコントロールして生活できる人と、
依存症となってしまう人の間ではなにが違うのでしょうか?

依存症になるまでの量や、期間、条件などは人によって違うため基準はなく知らず知らないうちに依存症になってしまう人もいます。

特別おかしいことをした人だけが依存症になるわけではありません。


社会的に成功していて 自制心があるように見える人でも、
どうしてもタバコがやめられない人がいますし、気がつくと付き合いの飲み会続きで段々とお酒が深くなってしまう人はいます。

ごく普通に生活している人のなかにも、毎日寝る前にお酒を一杯のまないと眠れない人がいます。

気晴らしてしていたゲームがどうしてもやめられなくなり、生活や仕事に支障をきたす人もいます。

たまたまストレスによって量が増えてしまったり、人付き合いで何となく続けてしまったり、なんとしても頑張らなければならない状況になったりした結果、
「依存症という病気」にかかってしまった人がやめられなくなってしまいます。

お酒やタバコが原因で身体を壊してしまった人はお酒やタバコをやめればいいだけですが、依存症になった人は「やめられないこと」が病気です。

始まりは意志によるものだったかもしれませんが、
一度病気になってしまったら意志の問題ではない「病気にかかったのだ」ということを理解しましょう。

依存に抗えない、自分でコントロール出来なくなる理由

依存には脳内伝達物質が深く関わっています。

脳内伝達物質とは、幸福感や快楽、緊張などの感じることや、緊張時やリラックス時の身体の状態を調整するなど、
人の脳と身体に様々な反応を作り出す物質です。


乱用される薬物やアルコール、タバコ、カフェインなどでは、それぞれ作用の仕方は違いますが、いずれも脳内伝達物質の働きに関与します。

薬物による刺激は、通常の脳の機能による刺激よりも早く大きい影響を及ぼすため、あらがうことができないほどの依存に繋がってしまいます。

摂取した物質の強力な作用によって元々の脳内のバランスが乱れて正しい状態ではなくなり、
「その物質がないと働かない」「脳のおかしい状態からの苦痛を和らげなければ」というように依存が形成されてしまいます。

アルコールや薬物などの精神作用物質は「なんだか良い気持ちがする」というような生ぬるいものではなく、
脳の機能自体を乱して状態を変えてしまうのです。


薬物依存症に対する研究には、ラットやサルなどの動物実験が大きく貢献してきました。

動物の薬物に対する反応や依存は、人間とほぼ同じような反応を示すモデルになると考えられています。

つまり、人間と動物に共通して、脳に薬物の依存を形成する神経回路があると考えられ、「どうするか?」という道徳心の問題ではなく「脳に物質を与えるとどうなるか?」という生理的な問題であると言えるのです。

アルコールや薬物などの精神作用物質が脳に及ぼす変化の仕組み

脳は外部からの刺激にたいして変化します。

ニューロン(神経細胞)同士の接続部分であるシナプスでは、外部からの刺激が電気信号によって伝えられ、神経伝達物質を放出します。

神経伝達物質は、受容体に吸収されて刺激してさまざまな反応を起こし、それから受容体から離れてトランスポーターによって再び元の場所に戻されます(再取り込み)。

薬物は、受容体に偽の刺激を起こしたり、神経伝達物質を増やしたり、トランスポーターの働きを阻害するなどして脳内の化学的なシグナルを乱してしまいます

脳内には薬物を無効化させるシステムがないため、肝臓の代謝によって薬物が排出されるまで脳の働きは乱され続けます。


例えば、コカインは欲求や快楽に関係しているドーパミンという神経伝達物質の再取り込みを阻害し、その結果ドーパミンが増え続けて、通常よりも大きな快楽を起こします。

精神作用物質の代表であるアルコールはGABA-A受容体に作用し、ニコチンはアセチルコリン受容体を刺激します。

抗うつ剤も精神作用物質です。セロトニン(精神を安定させる)の再取り込みを阻害してセロトニンの効果を持続させるような薬もあります。

メタンフェタミン(覚せい剤)はドーパミン再取り込みを阻害するだけでなく、神経伝達物質の放出を促進したり、脳内のドーパミンやセロトニンを含む神経細胞に障害を及ぼすなど、薬物によって作用や影響は様々です。

行動依存で出るドーパミンも脳を変える

科学的に「この物質には依存性がある」とされているものだと、どんな人の身近にもタバコがやめられない人がいることから、理解しやすいかもしれません。

では物質ではなく行動の依存ではどうでしょうか?

ギャンブル依存症や窃盗依存症(クレプトマニア)、摂食障害や自傷行為にも、ドーパミンという脳内伝達物質が深く関わっていると言われます。


ドーパミンは「意欲」「快楽」「運動」に関する脳内物質で、動物において餌がもらえるとき、発情期の雌がいるときなどに分泌されます。

餌があれば、それを獲得するために意欲が起き、獲得したら快楽を感じるという、生きるために必要なものを獲得するために作用する脳内作用物質です。

ドーパミンに作用するということは、元々の生命維持に関わる反応と同じくらいに強く、脳にとって優先順位の高い反応が起こるということなのです。


ドーパミンが出るような行動を取るのは人間の本能ですが、行動の依存では、
行動とドーパミンが強く結びつけられる条件付けが起こります。

レモンや梅干しを見ると唾液が出る条件付けと同じ脳内の反応です。

通常の行動のように「これをしたら楽しい」という思考が元になっているのではなく、
脳内で「その行動=ドーパミンがでる」という状態が出来上がることによって依存が形成されます。

その行動によってドーパミンが出る脳に変わってしまっているため、その行動をしないとドーパミン不足になって離脱症状が出ます。

そして、その行動のことを考えただけでも強い渇望が起こる脳に変わってしまっているのです。

何年経っても脳の反応は元に戻らず一度なったら一生依存症

薬やアルコールによる脳の萎縮は長い時間をかけて治っていく部分もあることがわかっていますし、身体のダメージは治療によって治ることもあります。

でも何十年依存の元を避けて、クリーン(物質の影響を受けていない)になった状態の人でも、
一度手を出せばたちまち脳は「依存症」の元の状態に戻ってしまいます。


長い時間をかけてお酒やギャンブルによる快感の記憶が薄れ、身体的な依存が抜け、精神的にもそれがなくても生きていけるようになったとしても、
そのことに依存するようになった脳は二度と元には戻りません。

「欲しくない」と気持ちでは思っていても、目の前に差し出されば脳内で依存症の衝動や渇望が起こります。


最近ちょっと毎日続けてしまっているけど、今が辛いだけだから、状況が良くなったら減らす。

そんな風に思っているうちに、一生元に戻ることのない依存症になってしまい「減らすのではなくやめる」しか選択肢がなくなってしまうかもしれないのです。

毎日過度にお酒を呑むことを続けていたら、いつか依存症になるか身体を壊して一生飲めなくなります。

考え方によっては、お酒を一生呑みたいと思っている人ほど、ギャンブルが好きな人ほど、依存症にならないための注意が必要だと考えてみてください。

依存症がわかりやすいおススメ書籍

依存症の仕組みを一般の人にわかりやすく説明しています。かなり専門的な内容も含まれるですが、理解しやすいのでおすすめです。

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