苦手だと思っていたことは生活によって衰えただけかも!?―誰にでも起こりうる施設病―
人見知りであたらしい人や異性と会うときには緊張してしまって話せない…。
おしゃれが苦手で、何を着ればいいのかわからない…。
誰しも苦手なことはあるものですが、
本当にそれは「自分の苦手なこと」なのでしょうか?
近年、若い世代の「電話嫌い」が話題になっています。
固定電話の減少や、LINEなどのメッセージアプリの普及により電話をかける機会が減ったことが原因とか。
直せないと感じる「自分の苦手なこと」は、
単に「慣れていないこと」だったりするかもしれません。
目次
施設病とは?限られた生活により能力や感覚が衰える
施設病(施設症)とは
病気ではなく原因と状態の関係を表す言葉です。
病院や介護施設などの施設で長期間にわたって生活することにより、施設内という限られた空間での生活に対応してしまうことによって能力や感覚が衰えてしまうことをいいます。
施設のシステムや過剰な世話などによって自己効力感(自分でできるという感覚)が下がり、自信を無くしてしまうこと。
自分で選択できることの少なさから主体性を無くしてしまうこと。
それに伴う無気力な状態やうつ状態などの精神状態も含まれます。
子どもの場合は、愛着の問題が出たり、社会性の発達が遅れてしまうことも指します。
また、サービスを提供する側が、施設の利用者を能力がないと思い込み、主体性を奪ってしまうことなどを指して使うときもあります。
元々の能力や疾患による衰えではなく、
ある能力が必要のない環境に長くいることによってその能力が衰えてしまうことです。
例えば、トイレが自動で流れる施設に長くいた人が、
施設をでてからトイレの水を流すことを忘れるようになること。
長く施設にいたために新しい携帯電話などの使い方がわからなかったり、
日用品の相場がわからなくなることなど。
施設という限られた空間にいることによって、
本人の能力に関係なく、社会に適応するための能力や感覚が下がってしまうことがあるのです。
このような施設病の状態と同じようなことは、日常生活にも起こりえます。
日常生活のなかで知らない間に衰えてしまう能力や感覚
夏休み明けに早起きがつらかった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
夏休み中の寝坊によって崩れた睡眠リズムも、学期が始まってしばらくすれば自然と戻り、
また毎日同じ時間に起きられるようになります。
怖いのは、自分が気づいていない間に能力や感覚が衰えてしまいがちな生活スタイル。
いつも同じ場所にのみ通う生活
職種によっては、いつも同じ職場に通い、同じ人たちとだけ関わるような仕事もあるでしょう。
そのような仕事の人が多忙であったり休日に出かけなかったりして、職場と家の往復のみを繰り返していると、
知らない間にあらゆる能力が衰えてしまうかもしれません。
- 新しい人に出会うのがおっくう、怖くなる
- 通勤路以外の交通事情や町の変化に疎くなる
- 仕事以外のときに何を着ればいいのかわからない
- 休日にしたいことや出かけたい場所が思いつかない
家族や親しい人とばかり関わる生活
元々人見知りだったり引っ込み思案だったりする人に多いのが、
「会話をするのはほとんど家族や親しい人とだけ」という生活。
親しくない間柄の人との会話が元々苦手だったりしてそうしているうちに、
さらに能力が衰えて苦手を加速しているかもしれません。
自分のことをよく知っている相手との会話では、
相手が無意識に自分に合わせて会話をしていたり、うまく言えないことを汲んでもらうこともできます。
逆に相手のことをよく知っていれば、合わせることも苦ではなく自然にできます。
- 自分の話し方の癖などに気づかず、伝わりづらい話し方をしてしまう
- 話のペースや踏み込み具合を相手に合わせることがうまくできない
- 敬語や言葉選びがうまくできない
- 世間話や当たり障りのない会話のきっかけを掴めない
人に合わせたり、いうことを聞いてばかりの生活
知らないうちに陥ってしまいがちなのが、
家族や恋人、普段関わるグループなどの人に合わせてばかりいる生活。
好かれたかったり、関係上の問題でつねに人に合わせ、行動や言動を自分で選ばずに相手の基準で選んでしまっていると、
気付かない間にどんどん主体性がなくなってしまっているかも。
自分ではそのとき合わせているだけのつもりでも、
長くそのような状態を続けていると能力や感覚そのものが衰えていってしまいます。
- 自分の好きなことやしたいことがわからない
- 何をするにも人の顔色をうかがい、臆病になる
- 一人で何かを始めたり、行動することができない
- なにかを決定することが難しい
- 自信がなくなったり、自分のことが好きではなくなる
- 自分のことを大切にすることができない
注意すべきところは沢山ある
長い間おしゃれをしないでいるうちに、バサバサの髪や流行遅れの化粧に気づかないでお出かけしてしまう。
子どもと関わる時間ばかりで、夫に対しても子どもに対するような態度をとるようになってしまう。
親しい職場の雰囲気になれてしまって、出先での仕事中にも気を抜いてしまう。
などなど、誰にでもありえる「施設病」のような症状はたくさんあります。
自分で気づきづらいことも多いので、一度自分の生活が偏っていないか、あることから遠ざかり過ぎていないかを考えてみてはいかがでしょうか。
能力や感覚を取り戻して苦手を克服するには?
まずは、自分が苦手だと思っていることについて分析してみましょう。
- 普段どれくらい挑戦しているか
- 子どもの頃から苦手だったか、苦手ではなかったことがないか
- いつから苦手だったか、それ以前にはどれくらい挑戦していたか
苦手ではなかったことがある場合や、挑戦することを避けている場合は、
施設病状態の可能性があります。
元々の苦手ではない場合は、
限られた生活から脱して能力や感覚を取り戻せば、苦手ではなくなるかもしれません。
自分がなるべく安心できる環境で試してみる
苦手なことに挑戦するには勇気が要りますが、
同じことでも安心できる場所や相手によっては、挑戦することがはるかに楽になるのではないでしょうか。
- 電話が苦手だったら
- 親しい人や自分にとって失敗が気にならない相手にかけてみる
- 知らない人と関わるのが苦手だったら
- 親しい人と一緒に試す。二度と会わない相手や、年齢や立場上緊張しにくい相手で試す。
- 人に合わせてばかりいたら
- 少しでも自分で決めて何かをする時間をつくる。家族や信頼できる相手に対して自分の意見をだしてみる。
小さなことから挑戦してみる
自分で「これならできる」と感じられる小さな目標を設定し、
成功するたびに次のステップへと挑戦する方法です。
どんなに小さなことでも、成功したことによって自信がついていくため、
最終的に大きな目標の成功に繋げやすいといわれています。
小さなステップに慣れて自信が持てるようになってから、
できそうに思える次のステップを設定するのがコツです。
- 電話が苦手だったら
- 家族に電話することに慣れたら、友達に電話、知らない人に電話
- 知らない人と関わるのが苦手だったら
- 挨拶をすることに慣れたら、人にものを訪ねる、世間話をする
- 人に合わせてばかりいたら
- 自分ひとりですることを決めるようになったら
- 人が一緒にいるときに自分がすることを決める
- みんなで一緒にすることに自分の意見をだす
環境を変える・新しいことに挑戦する
今とおなじ閉ざされた生活にいては、能力や感覚を伸ばしていくことは難しいかもしれません。
思い切って環境を変えたり、新しいことを始めることで、
自然と能力や感覚が伸ばしていくことにも挑戦してみましょう。
「人と話すのは苦手だけど英会話を習いたい」と英会話教室に通い始めるなど、
別の目的をもって自然と苦手なことに挑戦できることはたくさんあります。
苦手なことに挑戦するのは難しいので、
とにかく今の生活を変えるということを意識するだけでも良いです。
また、違う環境に対応できることによって、
苦手なことに挑戦する自信が湧いてくる効果も期待できます。
- 引っ越し
- ジムや教室に通う、スポーツやボランティアなど新しい趣味
- 転職やバイト
- 自炊をする、睡眠時間を変えるなどの生活習慣
- ブログを始める、新しいSNSを始める
人の脳はすぐに慣れてしまうもの
人間の脳は変化を嫌い、新しいことに対して不安を感じるように出来ているそうです。
安定した平穏な生活をおくるための脳の在り方ですが、気づかないうちにできてしまう「苦手」は厄介です。
「元々苦手だったわけではなく、忘れてしまっただけなんだ」と苦手意識を取り払って、
苦手を克服できると良いですね。
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