アダルトチルドレンからの回復②―親に関する気持ちと考え方を変える―
自分を尊重する気持ちや、自分で決めるという力が十分にあると感じたら、親に対する考え方を変えることに取り組んでみましょう。
親を変えることや過去を変えることはできませんが、自分にとってより良い考え方で改めて見てみることで、気持ちが変わっていくことはあります。
無理に考えや気持ちを変えようとしても良いことはないので、自分にとってしっくりくる、すんなりと受け入れられるようなやり方を見つけてください。
目次
親と自分の関係を考えるときのポイント
親子関係の在り方というのは様々ですが、世の中にはあらゆるステレオタイプ(典型的な形)があふれています。
アダルトチルドレンは、どこかで親に対して違和感やマイナスな感情を持っていたり、
不適切な関わり方をされてきたことで、親に対するイメージが歪んでいることも多いです。
最終的には、価値観は自分で決めるということが大切です。
自分を苦しめる価値観や考え方を修正するための助けになるようなポイントをおさえて、
自分にとって楽になるような価値観を作っていきましょう。
型にはめたり、理想をもつことはやめる
家族はこういうものだというイメージは人それぞれあるものですが、
実際には「標準的な家族」や「あるべき家族の姿」は存在しません。
自分にとって「こうであってほしかった」という気持ちはそのまま認めます。
また、子どもの権利を侵害する、子どものことを守らないなど「こうであってはならない」ことはもちろん存在します。
ただし、「こうであるべきだったのに…」と考えていては傷ついたり納得できないことが増えてしまうので、
家族のあり方や親のあり方に理想をもつことはやめるようにしましょう。
アダルトチルドレンから回復していく過程で、親との関係が悪くなってしまうことがあったとしても、
完璧でなくてもいいと思えるようになった方が良いです。
親も人間であり、自分よりも優れている存在ではない
子どもの頃から親は自分を守ってくれ、導いてくれる存在ですが、
大人になると親も一人の人間であるということに気づかされます。
アダルトチルドレンの中には、そのことに気づいていなかったり、
親の支配によってそうは感じられない人が多いです。
親がいつも正しいと思うことや、必ず正しいことをすべきだという考えは捨てましょう。
親も間違うことがあり、間違っても良いときもあるのです。
キレやすかったり、不安が強かったり、自分勝手な親の一面も認められるようにしましょう。
親が子どもを育てるのは当たり前
育ててくれた親に感謝することが当たり前だとされる世の中ですが、
とはいえ親が子どもを育てることは当たり前のことです。
少なくとも18歳になるまでは親が子どもを守り、育てることは親の問題であって、
子どもが負い目に感じたり、「借りがある」ような気持ちを持つ必要はありません。
感謝できないからといって罪悪感を感じる必要もありません。
子どもは人生を自分で選択し、大人になったら自由に生きる権利がある
子どもの頃に親のいうことを聞くことが正しいとされるのは、安全や教育上の意味で必要なことかもしれませんが、
子どもの人生は子どもの人生です。
子どものために親が決めても良い範囲と、そうではない範囲があります。
また、育てたのだからと親が大人になってからの人生における選択や、行動を決める権利はありません。
学校や社会において親がいないとできないこと、親の許可が必要なこと以外は、
すべて自分のことは自分で決定する権利があると考えてもよいでしょう。
グレーゾーンは自分で納得できる基準を持つこと
誰も世話する人がいない病気の親に対する責任はあるか?
逆に自分が病気や事情があって親の世話にならざるを得ない場合の恩は?
などの家族に対する責任・価値観に関する問題には、はっきりとした基準がありません。
人によっては、責任を感じすぎてしまったりして苦しむ原因になることがありますが、
最終的には自分で決めることです。
親や他人の価値観に従う必要はないので、
自分にとって納得でき、無理を感じない基準をしっかりと自分で持つようにしましょう。
自分の人生を生きるために親に対する考え方を変える
親に対するマイナス気持ちや子どもの頃からのわだかまりは、
自分の人生にあらゆるところで影響を及ぼします。
親のために変えるのではなく、自分の人生のために親との精神的な距離をとることが必要です。
自分の気持ちと考え方を整理していきましょう。
問題によって取り組むべきことは変わってくるので、自分にとって必要だと思われることに取り組んでください。
親の立場にたって自分の経験を見つめなおす
ステップ1(前回の記事)で書き出した経験や子どもの頃の記憶を、親の立場にたって辿ってみましょう。
大人になってからの関わりから新たに親の以外な一面に気がついたようなことがあれば、それらを手掛かりにします。
できるのであれば、そのことについて親と実際に話してみてもよいでしょう。
(親子関係が良好ではない場合や、親がマイナスに受け取る可能性がある場合はやめておいた方が無難です。)
子どもに関心がなく何をしても怒らなかった
→その頃は仕事と子育ての両立で余裕がなかったのでは?
何をしても怒られた
→母は心配症で不安で仕方がなかったのでは?
成績が悪いと怒られ、嫌われたようだった
→成績が良くないと将来不幸になるという価値観があったのでは?
愛情がないのではなく表現が歪んでいるということに気が付けるかもしれません。
自分に対する愛情や評価が悪かったのではなく、親の不安や価値観からくる歪みだったことがわかるだけで、
「実は愛されていたんだ」と感じられるきっかけになります。
親なりの愛情表現を受け取ることができていなかった、というように気づくこともあるのではないでしょうか。
また、自分ではなく、親自身や環境に問題があったのだと認識することができるかもしれません。
親も人間であり、問題を抱えていたり事情があったりしてそうなっていたのだということがわかると、
「自分が悪い子だったから愛されなかったのではなく、親自身や環境に問題があったんだ」
と考え方を変えることができます。
親に問題があると認めることは難しい場合も多いですが、
認めることで自分自身への根拠のない自信のなさや否定が解消されるきっかけになるでしょう。
親の問題と自分の問題をわける
親が支配的であったり過保護な場合、子どもに対して要求や不満が多い場合などには、
親の問題と自分の問題を分ける必要があります。
自分と親との関係性のなかで、
親の問題を押し付けられていないか、自分の問題なのに親に侵害されていないかと一度確認してみましょう。
例えば、子どもの成績や仕事が上手くいかないからと親がいくら嘆いても、それは親の問題であって子どもの問題ではありません。
ですが成績や仕事がうまくいかないことで結果を引き受けるのは自分自身なので、
いくら親の助言に従った結果だったとしても、結果は自分の問題です。
親に対して感じているマイナスな感情や、
自分に対して感じる親からのマイナスな感情をすべて書き出してみると客観的にわけやすくなります。
親の問題を引き受けさせられて苦しんでいないか、
親に自分の問題を奪われていないかを確認し、解放されましょう。
自分にとって嫌なことや悪いことと感じていない場合でも、
親の問題と自分の問題をわけて、自覚していくようにしましょう。
親の欠点や人格の特徴を書き出してキャラクターにする
親が支配的な場合や、
親に対して苦手意識や罪悪感がある場合、
愛されたかったのに愛されなかった気持ちがある場合は、
取り組んでみてください。
当たり前ですが、子どもは親を親として捉えています。
社会から受ける親のイメージや、自分の価値観における親のイメージが、
重なって描きだされているようなところが多かれ少なかれあります。
それによって、いくら「親にだって欠点はあるし大変だったんだ」とか「親だからといって従う必要はない」と思っても、潜在意識が邪魔をしてしまうかも。
親を一人のキャラクターとして認識することで、自分の中の親に対するイメージを変えやすくなります。
特徴のない人の絵をかくか、親のイメージをとらえたような絵をかき、
漫画のキャラクター表のように特徴を書き出してみましょう。
自分にとって、「こういう風にとらえると楽だな」と思えるような書き方でかくのがポイントです。
認識「私を可愛がってくれなかったお母さん」
→書く「おばあちゃんが厳しい人だったので、私にもすごく厳しい」
認識「家族をかえりみず遊んでいたお父さん」
→書く「お母さんとの仲が悪く、家に帰りづらかった」
認識「お母さんに従わないと怒られる」
→書く「お母さんは思い通りにならないとすぐ怒る」
認識「ちゃんとしないとお母さんが悲しむ」
→書く「心配症なので、ちゃんとしてるよって言ってあげればいい」
今まで気づいていなかった感情に気づくだけでも進歩
上記の考え方や方法でしっくりくることがあった人も、なかった人も、
改めて親について考えていくなかで、
今までは気づかなかった自分の感情や考え方に気付いた方もいるのではないでしょうか。
アダルトチルドレンは、気付かないうちに子どもの頃の経験が人生に悪影響を及ぼすことが一番の問題になります。
自覚しているだけでも、何か歪みや問題が生じたときに、客観的に自分を見つめて冷静に考えやすくなります。
認めるようとする過程で余計に、落ち込んだり混乱したりすることもあるかもしれません。
アダルトチルドレンからの回復は長い道のりです。
なによりも自分を大切に。無理せず気長に取り組んでいきましょう。
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