自分を大切にする―自己肯定感・自己許容力・自己効力感・自尊心のどれを高めれば知るチェックリスト―
自分のことを大切にできていますか?
自信がなく引っこみ思案
失敗がゆるせずにすぐに落ち込んでしまう
生きることに意味を感じられない
自分に価値があると思えず大切にすることができない…。
そのような自己愛に関する悩みがある人がよく目にする、
自己肯定感、自己許容心(失敗許容力)、自己効力感、自尊心という言葉があります。
いろいろと情報が多くてよくわからない!結局どうすればいいの?
という人のために、それぞれの意味と関係をまとめます。
目次
自分を大切にするためのキーワードとその意味
自信とは
自分には能力や価値があると確信することができること。
自分の考えや行動を正しいと信じること。
自信を持つことは、例えば「試合に勝つこと」「出世すること」「人に好かれること」「意見を言うこと」など、
あることに対して成功や正しさを信じるための根拠となります。
一環してすべてに対して自信を持っている人はおらず、
あることには自信があるけど、あることには無かったりします。
どんなに自分に自信がある人でも成功や正しさを確信できることは少なく、
自信がなくなるというのも当たり前にある正常な状態です。
自尊心とは
自分には価値がある存在だという認識。自分の能力や考え、行動に自信を持ち尊重する気持ち。
心理学的には自己肯定感と同じ意味で用いられることも多いが、自己肯定感に比べると「自分は優れている」「良いところがある」と感じる気持ちが加えられる。
自尊心を持つことは、自信を持つことに比べると一貫していてつねに感じることです。
自分自身に対する評価や尊重する気持ちの高さであり、
多少のことでは揺らぐことがありません。
うぬぼれや高慢と同じような意味で捉えられることもありますが、自尊心は自分自身をそのまま認めることであり、
過剰に評価する思い込みであるうぬぼれや他者を見下す高慢とは違います。
自己効力感とは
ある状況や課題に対して、自分が正しい選択をして実行することができて成功する可能性を信じる認識のこと。
心理学者のバンデューラが唱えた概念で、動機づけ(やる気、意欲を出す)に影響があるとされます。
成功することを信じるというと大げさに聞こえますが、どんなことにもある程度この感覚がなくては人は何もできなくなってしまいます。
自分がドアノブを回せばドアが開くと信じる認識も、小さい自己効力感のひとつです。
一つ一つの課題や状況を考察して判断することとは少し意味が違い、
自己効力感は目の前の課題や現実に対しての自分の能力をどう捉えるかの傾向です。
自尊心が「自分は出来る人間である」と確信することであるのに対して、
自己効力感は「きっとできる」という可能性を信じる見込みです。
自己許容力とは
自分に対する思いやり、失敗や至らなさを許す心。
良くないことを許して努力させずに甘やかすこととは違い、失敗や至らなさを認めて許し、改善するために励ます姿勢。
許容すると考えるとまるで「ダメでもなんでもいいんだ!」と開きなおるようなイメージになってしまうかもしれませんが、そうではありません。
許容はその程度ならいいと大目に見ることです。
少しでも良くない部分があったときに認めずに否定するのではなく、
良くない部分を認めたうえで、思いやりを持って励ます力が自己許容力です。
自分に対しての態度ですが、他人に対する許容力や思いやりとも関係すると言われます。
自己肯定感とは
自己評価や他者評価に関係なく、自分の存在自体に価値があり大切にするべきという感覚。
自分の人生に関することを決定し、自分の意思でありのままで生きていくことを認める気持ち。
産まれたときに無条件で養育者から世話をされ大切にされることで基盤ができるといわれる。
何もできない赤ちゃんが大切にされることから基盤ができるので、
客観的にみた自分の価値に関係なくもつ感覚です。
自分のことが嫌になったり落ち込んだりしても、
自分が生きる上で大切なことをおろそかにしないような感覚といえます。
自己肯定感は様々な要因によって多少の状態の変化がありますが、
基盤の強さはあまり変わることがなく揺らぎません。
いろんな意味で使われる言葉も―自己信頼感
自己信頼感という言葉もありますが、自分を信頼し行動することができる感覚ということで、自己効力感と同じような意味があります。
自己効力感と比べると、ある行動に対して成功できるかどうかのイメージではなく、自分に対するイメージなので、
自尊心と同じような意味も含まれます。
アドラー心理学の中では、「不完全な自分も認めるべき」とされており、自己肯定感と同じような意味で使われます。
自分を大切にするため、自分の能力を生かすために伸ばすべきなのは?
人から「自分を大切にできていない」と言われたり、「自信がなさすぎる」「自分に厳しすぎる」という欠点があるという方は、
それを改善するために何を高めていけばいいのかを見極めると良いです。
なぜなら、どのような感覚が足りていないのかによって、
充足させるためのアプローチが少しずつ違っているからです。
同じ「自信がない」という問題でも、
- 能力があるにも関わらず自尊心が低く自分を認めることができていないのか
- 自己効力感がないために自信をもって行動ができないだけなのか
- そもそも自分の存在自体をダメで価値がないと思い込んでいるのか
によって対処法は変わってきます。
自己肯定感を基盤として、上位にいくにつれて育っていくようなイメージで考えてみましょう。
ただし常に順番に育つというものでもなく、自尊心はあるのに自己許容力がない、
自己効力感だけがないというようにアンバランスになってしまうこともあります。
また、相互に少なからず影響しあっているので、
元々自己肯定感はしっかりしているのに、自己効力感が落ちたり、自尊心が傷つけられたり、自己許容力が下がったりすると自己肯定感が落ちるということもあります。
自分に対するイメージを知る・足りない感覚を知るチェックリスト
チェックリストで自分に足りないところを見つけましょう。
自己肯定感 | 自分には生きている価値がない。 |
---|---|
自分にとって大切な人や、自分のことを大切だと思っている人はいない。 | |
困っていても助けを求めるのが苦手。助けてもらえないのではないかと思う。 | |
自分の好きなことや自由な時間にしたいことがわからない。自由に選べることでもなんとなく選んでいる。 | |
誰も自分のことを理解してくれない。理解されるとも思っていない。 | |
確信がなくても自分の失敗や落ち度がなかったかどうかいつも気になる。 | |
親しい人との間柄でも、相手に嫌われないか、迷惑をかけていないかどうかいつも気をつけている。 | |
人と自分を比べて落ち込むことがよくある。 | |
良いことをしたら気づいてもらいたい。誰かに認めてもらいたい。 | |
プライベートと仕事などを分けるのが苦手。どちらも上手くいくかどちらも上手くいかないなど同じようになりやすい。 | |
自己許容力 | 他人の悪い所や社会の問題に目が行きやすい。ちょっとしたことでもイライラすることがある。 |
小さなことでも、自分の失敗や欠点がいつも気になる。 | |
出来ない自分やダメな自分は認められない。そんな自分ではいけないと思う。 | |
ちょっとした不注意などで結果的になにも支障がないことでも自分を責めている。 | |
間違ったことや曲がったことは許せない。常に正しく秩序を保ちたい。 | |
自己効力感 | 過去の失敗や挫折を引きずっている。またどうせダメになると思う気持ちが拭えない。 |
他人の評価や明確な点数などがないと自分の能力や評価がわからない。一人で満足したり安心したりすることがない。 | |
将来のことや自分の成功には興味がない。今が良ければそれでいいと思う。 | |
どんなことでも上手くいかなかったときのことを想像してしまう。不安になりやすい。 | |
変化が嫌い。改善しようと挑戦するよりは現状のほうが安心できる。 | |
困ったことや不安なことに遭遇するとすぐに人に助けを求めることが多い。 | |
自分の願望や夢について考えることがほとんどない。 | |
自分の話が伝わっているのか不安になることが多く、説明が長くなったり声が小さくなったりする。 | |
新しい環境や慣れない場所が苦手。できる限り避けたいと思う。 | |
自尊心 | 自分が人よりも優れていると思うことがあまりない。人並に頑張るだけでも精いっぱいだ。 |
得意なことや好きなことも人には見せず、一人で楽しむ。 | |
自分を売りこむことや良く見せることが苦手。面接や初対面の場面では、緊張したり諦めたり不安になりやすい。 | |
自分の意見をいうことや、権利を主張することが苦手。黙って我慢することが多い。 | |
自分のことを認めてくれる人や親しくしてくれる人に対して、なぜ自分のことが好きなのか?が疑問で、よく考える。 | |
休むことが苦手で、もっと努力しようと考えていることの方が多い。 | |
上手くいくことや成功することがあっても、自分の功績ではなく環境や周囲の人のおかげだとばかり思う。 |
このチェックリストは項目に分かれていますが、下位の要素から上位の要素へと重なって影響しています。
色が薄くなるにつれてすべての要素が低いということになります。
チェックリストの結果から自分に対するイメージを改善する
当てはまるところが全体に分布していたら、まず自己肯定感を高める。
当てはまるところが自己許容力よりも下に分布していたらまず自己許容力を高める。
当てはまるところが自己効力感よりも下に分布していたらまず自己効力感を高める。
というように、下位にある問題から取り組んでいくと良いでしょう。
もし当てはまるところが偏っていた場合、
一番多かったところが自分を大切にできないネックになっているポイントです。
そこを改善していくと、下位にある要素も改善する可能性があります。
自分をよく知ることから始めて、それぞれの感覚を高めるワークを探してみてください。
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